「サラリーマン根性が抜けない」|定額給で麻痺した私の頭を、借金2100万円が現実に引き戻す

人生論・貧困・奨学金

こんにちは、奨学金男です。

私は、父を高校2年で亡くし、母子家庭で3浪の末に6年制の私立大学へ進学し、国家資格を得て働いています。身長168cm、独身。総額2100万円以上の借金(奨学金・教育ローン)を背負って社会に出ました。毎月の返済に追われる生活です。
そんな私には、ずっと抜けない癖がある。「言われたことを、言われたようにやる」。最低限の成果を出し、トラブルさえ起こさなければ、翌月も同じだけの給料が振り込まれる――いわゆる“サラリーマン根性”です。

正直に言えば、この根性は便利です。指示に従い、余計な摩擦を避け、会社の信用に致命傷を与えない――それだけで生活は続きます。けれど、奨学金の返済は待ってくれません。「最低限」ではいつまで経っても貧困から抜け出せない。それがわかっているのに、身体は「今日の定額」を優先してしまう。ここに、私のいちばん深い矛盾があります。


私の1日は、給料日の“安心感”を中心に回っていた

朝、始業してから考えるのは目先のタスクの段取り。
「怒られない範囲で終わらせるには?」
「余計なことをしてトラブルにならないか?」
「稟議が通らなかったら面倒だな」

帰り道、アパートの階段を上る足取りは軽くない。財布の中身と今月の返済額を頭の中で照らし合わせる。気づけば、私の判断軸はすべて「定額の給料」の枠の中で完結していた。
――挑戦は“割に合わない”。
――波風は“コスパが悪い”。
――現状維持が“安全”。

しかし本当は、安全ではない。私には、毎月の返済という“見えない赤字”が積み上がっている。定額の安心感に依存するほど、返済の総額は精神を圧迫し、未来の選択肢は細っていく。安全に見える道が、じわじわと袋小路になっていく感覚。これがいちばん怖い。


「稼がなきゃ、食べていけない」人たちが教えてくれた現実

自営業や経営者の人と話すたび、毎回ショックを受ける。
彼らは「売上がなければ来月の支払いができない」という前提で動いている。だから、朝起きた瞬間から“仕事が始まっている”。「売れる仕組み」「顧客の反応」「今週の現金繰り」――会話が具体的で、数字が生々しい。

私はと言えば、「今月も欠勤しなければ振り込まれる」「上司がOKならそれでいい」という発想に縛られてきた。両者の差は根性論ではない。“制度”の差だ。会社員は給与という制度に守られ、個人事業は売上という制度に晒される。

けれど、奨学金2100万円という現実は、私を“売上の側”へ少しだけ引き寄せる。残債を見れば、制度に守られているようで、実は守られていないのだと痛感するからだ。


行動できない理由は“怠け”ではなく“設計”の問題だった

私は長いこと、自分を「行動できない人間」だと責めてきた。でも違う。
私が動けないのは、会社員として最適化された“設計図”のまま、別競技に出ようとしているからだ。

  • 評価軸が「ミスをしない」:減点回避に最適化すると、加点行動(提案・実験・交渉)が怖くなる。
  • 報酬が“固定”:努力を上げても“今月の入金”が変わらないと、努力の体験学習が成立しない。
  • 時間が“細切れ”:通勤や会議で残るのは“余白時間”。大きな賭けより、小さな娯楽で埋めたくなる。

この設計のまま「もっと挑戦しろ」と言われても、ルールの違うゲームで勝てと言っているようなもの。だから私は、設計を変える小さな仕掛けを、これから生活に組み込んでいきたい。


私がこれから実践したい「サラリーマン根性」から抜ける5つの装置

1) 「固定給」ではなく「小売上」を毎週1つつくる

会社とは別に、“今週の売上ゼロかイチか”の経験を自分に課す。金額の大小ではなく、現金が動く感触を体内化するのが目的だ。
例:不要品のフリマ出品、テンプレ資料のワンコイン販売、簡易レポートの有料配布、スキルの単発提供。
週に1つ、“買ってくれた人の顔が浮かぶお金”をつくり、脳を「売上」という報酬系に切り替えていきたい。

2) 1日30分だけ「会社の看板を外す」時間を固定する

タイマーを30分。テーマは「職場では評価されないが、将来の私には効く行動」。

  • 過去の仕事を再利用できる形に整える(ひな形・チェックリスト・手順書)。
  • 自分の経験を「悩み→解決→証拠」で文章化する(後に価値になる)。
  • 学びを「誰かの問題を1つ減らす形」でまとめ直す(自分の勉強から他者の価値へ)。

3) 「減点回避KPI」→「加点創出KPI」に置き換える

会社のKPIは守りでいい。個人のKPIは攻めに振る。

  • 守り:遅刻ゼロ、納期遵守、苦情ゼロ。
  • 攻め:新規提案3件/週・試作1個/週・テスト販売1回/週・顧客ヒアリング1件/週
    数字を動かし、“やった/やらない”を白黒で見える化する。やらない自分を責めるのではなく、設計のエラーとして修正していきたい。

4) 「ミス=減点」思考を、実験ログで上書きする

私は、やらかしが怖い。だから実験ログをつける。

  • 項目:実験名/仮説/必要コスト/実施日/結果(〇×△)/学び/次の一手
    “×”が増えても、ログが貯まるほど“資産”に見えてくるはずだ。会社の評価は結果主義でも、個人の成長は学習主義――そう理解し直したい。

5) 「定額の安心」を“返済の現実”で中和する

安心は必要だ。でも、安心の過剰摂取は行動の麻酔になる。毎月、返済シートを更新し、「このペースだと何歳で完済か」「金利でいくら余計に払うか」を可視化していく。さらに家計簿も確認し、支出をこまめに見直す。
グラフが示す“未来の自分への請求書”を見て、今日の30分を守りたい。


現場でできる「攻めの会社員」――サラリーマンの中で“抜ける”

サラリーマン根性を完全に捨てるのではなく、会社員のまま攻め筋を増やす。これは今の私に現実的だ。

  • 同じ作業を“商品化”して渡す
    口頭引き継ぎではなく、チェックリストとテンプレをセットで作成し、チームの生産性が上がる“成果物”として残す。評価がすぐ変わらなくても、実績として可視化できる。
  • 数値を“ストーリー化”して報告する
    数字の上下だけでなく、仮説→施策→結果→次の打ち手を1枚にまとめる。これはそのまま社外でも通用する提案力になる。
  • “誰も責任を取りたがらない小さな領域”を拾う
    たとえばFAQ整備、ナレッジベース、業務の見える化。小さな自治体の長になる意識で運用し、運用力の練習台にする。

「根性論」ではなく「積み上げ設計」――私の週間ルーティン(予定)

  • 月曜:返済シート更新(残債・金利・完済見込み)と家計簿の見直しで、今週の圧力を“現実”でセット。
  • 火曜:職場の仕事を1つ商品化(テンプレ or 手順書化)。
  • 水曜:攻めKPIのうち提案3本を下書き。
  • 木曜:30分の看板外しタイムで、個人の試作を1つ作る。
  • 金曜実験ログ記入、翌週の仮説メモ作成。
  • 土日いずれか小売上を1件つくる(ゼロの日をなくす)。

このサイクルに切り替えられたら、私の“行動できない”は、少しずつ“行動したくなる”に変わっていくはずだ。根性ではなく、触れば動く仕掛けに頼りたい。


弱者男性としての自覚――「自己責任論」に飲み込まれないために

私は、自分を“弱者男性”と呼ぶことがある。体力にも、才能にも、コネにも限界がある。家庭の事情で背負った借金は、私が望んで選んだものではない部分もある。
それでも、生き延びる戦略は自分でつくるしかない。自己責任論に押し流されず、構造を理解して、使える仕組みは使う。

  • 行政の支援制度の定期チェック
  • 通信費・保険・サブスクの固定費の見直し
  • “健康の最小投資”(睡眠・歩行・自炊のコア)

貧困は判断力を削る。だからこそ、決めておく。疲れていても、これだけはやる。週1の小売上、30分の看板外し――それだけはやめない。止まらなければ、必ず厚みが出てくる。


「やれば伸びる」とわかっているのに動けない――その恥を公開する

正直に言う。私は今も、行動できない夜がある。
スマホを眺め、動画を流し見し、気づいたら寝る時間。やればいいのに、やらない。そんな自分にうんざりする。

でも、これからはその夜をログに残す。何時に、何を、なぜスキップしたか。翌日、設計を微調整する。時間の場所、タスクの粒度、報酬の置き方。恥は、データに変換すれば資源になる。


借金があるから、まだ間に合う

皮肉だが、借金の存在は私にとって“最後の追い風”かもしれない。
完済までの距離が、毎週の小さな行動と直接つながっている。定額の安心に溺れそうになるたび、返済表が水面から顔を出させてくれる。

サラリーマン根性は、悪ではない。
ただ、定額の安心だけに自分の人生を預けるのは危険だ。会社員の制度に感謝しつつ、個人としての売上の感覚を育てていきたい。両輪で、生き延びる。


まとめ:明日からの私がやる“3つだけ”

  1. 来週、売上が発生する行動を1件つくる(金額は問わない)。
  2. 30分の看板外しタイムで、経験をテンプレに変える。
  3. 実験ログに“×”を1つ増やし、学びを1つ書く。

明日は仕事が休みだ。定額の給料も、ありがたい。その一方で、“売上のスイッチ”を自分の中に増設したい。
奨学金返済に追われる私が、弱さごと前に進むために。

ここに書いたことは、すべて私自身への戒めであり、これからの実践ログだ。
同じように“行動できない”と苦しんでいる誰かに、明日の30分が届けば嬉しい。
私たちは、定額の安心に感謝しながら、売上の手応えで未来を作り替えていく。それは、小さくても、確かにできる。

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