「奨学金2100万円です」と言うと、空気が止まる
「奨学金はいくら借りたの?」
そう聞かれて、「2100万円」と答えると、たいてい空気が止まります。
それでも、周りに恵まれているおかげか、心無い言葉は飛んできません。
しかし、きっと心の中ではこう思われているでしょう。
「……え? 2千万超え?」
「それ、人生終わったんじゃない?」
「返せるの?」
でも、私はこう考えています。
「奨学金2100万円=人生終了」ではない。
むしろ、この借金があったからこそ、お金のことを考えるようになったとすら思っています。
奨学金2100万円の背景:母子家庭、3浪、6年制大学
私についてはこちらの記事を読んでください。
私が奨学金を借りた理由はシンプルです。
借りなければ大学に通えなかったから。
- 高校2年生のとき、母子家庭になった
- お金だけでなく、学力もなかったため3浪
- 進学先は私立の6年制大学
- 地方で一人暮らし、生活費も学費も全て自分持ち
こうした事情が重なり、気がつけば総額2100万円という桁違いの借入になっていました。
一括返済はしない。その決断は「感情」ではなく「数字」
「借金は早く返すべきだ」という声は多いです。
確かに、返済がゼロになれば精神的にはスッキリするでしょう。
ですが、私は一括返済をしません。しないと決めています。
理由は簡単で、その方が合理的だからです。
奨学金の金利は驚くほど低い
僕が借りた奨学金の中には有利子のものがありますが、
日本学生支援機構の第二種奨学金の金利は現在年0.3%台。
これは、金融の世界で見れば「ほぼタダで借りている」に近い水準です。
- クレジットカードのリボ払い:15%前後
- 消費者金融:15~18%
- 住宅ローン:1%前後
これらと比べると、0.3%という金利は超低コストです。
つまり、「急いで返すべき借金」ではないのです。
そして私の借りている有利子の奨学金は0.2%を下回ります。
一方で、一部教育ローンも借りていますが、そちらの金利は2%を超えるものでした。
そのため、繰り上げ返済をして教育ローンは全て返済が終わっています。
一括返済よりも「お金を育てる」方が得
もしまとまったお金を作れたとして、それを奨学金の一括返済に使うよりも、
投資に回した方が長期的に得られるリターンが大きいと考えています。
● インデックス投資の平均利回りは4~6%
米国株式のインデックスファンド(例:S&P500)や全世界株式(オルカン)などは、
長期的には年平均5~7%のリターンを出してきました。
税金や手数料を考慮しても、年4~5%は十分に期待できる水準です。
これを、年0.3%の奨学金利息と比較すると、どちらが合理的かは明らかです。
新NISA制度で「お金を働かせる」時代が来た
2024年から始まった新しいNISA制度は、
年間360万円、最大1800万円までの投資枠が非課税となりました。
これにより、奨学金を背負っている僕のような人間でも、
少額から資産を育てるチャンスが得られたのです。
「借金を返すだけの人生」ではなく、
「借金を返しながら資産を作る人生」へ。
これが、僕が一括返済を選ばない最大の理由です。
現金を残すこと=「生き延びるための保険」
一括返済すると、手元のお金がゼロに近くなります。
それはつまり、何かトラブルが起きたときに即座に対応できなくなるということです。
- 急な病気や入院
- 実家や家族への支援
- 引っ越し・家賃更新
- 突発的な失業
僕のように、頼れる実家もなく、セーフティネットのない人間にとって、
手元に現金を残すことは命綱です。
借金返済と投資をするとともに、現金による貯蓄もある程度はしていくつもりです。
「借金を返す=正義」という思い込みを捨てる
日本では「借りたら早く返せ」「借金は悪」という考えが根強いです。
でも、すべての借金が「返済急務」ではありません。
奨学金残高が大きい人ほど、周囲からの言葉が刺さります。
- 「借りたならすぐ返すべき」
- 「借金があるなら投資なんかするな」
- 「結婚前に全部返して」
これらは善意の場合も多いのですが、借金の種類・金利・本人の事情を無視した一般論であることも少なくありません。
私が意識しているのは次の3点です:
- 数字で説明できるようにする。(金利・返済計画・資産形成方針)
- 感情的に飲まれない。「恥」や「劣等感」で不合理な行動を取らない。
- 自分のリスクプロファイルは他人と違う。家族支援の有無、職業、健康状態で最適解は変わる。
借金額だけで人生を判断するのは危険。大事なのは耐久性(生き抜く力)です。
数字で比較すれば、返さずに運用する方が合理的なケースもあるのです。
これは甘えでも、逃げでもなく、戦略です。
ただし、投資目的で奨学金を借りることについて、私は反対です。
奨学金は進学のために借りるべきですし、借りないで済むのであれば借りないほうが良いと思います。
奨学金は「終わり」じゃない。むしろ始まりだった
2100万円の奨学金を背負い、社会に出たとき、正直不安でした。
でも、今はこう思っています。
奨学金は、僕の人生を諦めさせるものではなく、
お金と向き合うきっかけをくれた“先生”だった。
もし今、奨学金の返済で苦しんでいる人がいたら、こう伝えたいです。
- 奨学金を返すだけの人生にしないこと
- お金を増やす仕組みを学ぶこと
- 自分の人生を数字でコントロールすること
奨学金をこれから借りる人へ:借金は“未来購入”である
高校生・受験生・親御さんへ伝えたいことがあります。
奨学金は「借金」ですが、同時に「将来の学びと資格・収入可能性を先に買う行為」です。
つまり「自己投資」です。
問題は「いくら借りるか」よりも、以下を事前に把握しているかです。
- 学費総額(入学〜卒業までのトータルで考える)
- 生活費(地域差大)
- 在学中に収入を得られるか(アルバイト・給付型奨学金)
- 卒業後の初任給・キャリアモデル(資格職なのか、年収推移は?)
- 金利のある奨学金か、無利子か
- 返済猶予・減額返還制度の利用可否
情報不足で“借りてから絶望する”ケースを減らしたい。
借りる前に「卒業時の総借入残高予測」と「返済開始後の生活シミュレーション」を紙に書いてみてください。
まとめ|借金を怖れず、使いこなす時代へ
奨学金2100万円という数字は、確かに大きくて、重い。
でも、それが人生のゴールではありません。
私は一括返済をせず、
低金利を活かしながら、手元資金を運用して増やす道を選びました。
新NISAは、そのための最強の味方です。
「奨学金があるから無理」じゃない。
「奨学金があるからこそ、お金の賢い使い方を学べる」
それが、私が今、実感していることです。
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